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わたしの「人権週間」

 先週は一体なにがあったのか、私がラジオやテレビに出ることになりました。月曜はラジオ大阪で「ザ・ぼんち」の里見まさとさん司会の「NEWSワンダーランド」でフランス大暴動の背景について解説、水曜はNHK衛星第一放送の「きょうの世界」のイタリア特集で取り上げられた政治風刺番組に関しての解説をしました。著名な研究者ではない私が出演することになったのは、いろいろな偶然が重なったものですが、とてもいい偶然でした。

 メディアで話すというのは、やはり勉強になります。共通了解事項の多い研究者同士の会話では、どうしても細かいところに目が行きがちですが、こうした機会では、より客観的に俯瞰してものごとを見ることが必要ですし、できるようになります。そして、ものを伝えるということに真剣なプロの人々の素晴らしい仕事を目の当たりにすることができました。

 二つはまったく異なるテーマだったのですが、私が当初スタッフから出演のお話しを頂いた瞬間には思いついていなかった一つの言葉が両方で自然に出てきて、自分でも驚きました。それは「人権」です。

 ラジオ大阪では、今回のフランスの暴動が主としてブールと呼ばれるアラブ系移民2世によるものであることから、その背景を説明していた(もともと、フランスへの関心からヨーロッパを研究し始めたのです)のですが、フランスが特別に差別的な国と誤解されないように、違法移民の子供にも教育の機会を与えていることなど、外国人の人権への配慮は日本と比べられないほどある、ということを付言しました。

 また、NHKでは、民主主義国では人権への配慮から政治議論がありきたりのものになりがちなので、そこに政治風刺がある程度、風穴を開けてくれる役目があると言った訳です。すなわち、ポピュリストという病気に対するワクチンであると。もちろん、人権自体が重要であることは言い添えました。

 これらのコメントは、事前に出演者やスタッフと打ち合わせた折りに考えたものです。出演される司会の方々がそれぞれにこの問題を独自の視点から考えてくれて、私だけなら単にヨーロッパ政治オタクのような話で終わってしまったかもしれないものを、より普遍的な問題を視聴者に考えてもらうメッセージの入ったものにしてくれました。

 私自身、普段の研究では、あまり知識人の役割など意識したことはないのですが、それほどおおげさなものでなくても、やはり自分にできる社会貢献とは何かということについてちゃんと考えていなければいけないなと反省しました。

 私から「人権」という言葉を引き出してくれた放送のプロたちに感謝です。

 なお、本当の人権週間は12月10日を最終日とする1週間です。

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「やそだ総研」の子会社設立!

 このたび、「やそだ総研」の子会社である「欧風堂」を設立いたしました。ネット上の仮想研究所「やそだ [EU&イタリア] 総研」(略称「やそだ総研」)は、EU統合と現代イタリアを研究する八十田博人(やそだ・ひろひと)=所長の作るマニアックなサイトとして、所長の友人たちに秘かに親しまれてきましたが、ネット技術の進歩と、所長の多忙による更新の遅さにより、いささか時代に遅れつつありました。そこで、「やそだ総研」よりも気軽に所長が更新でき、ブログの世界にも活動の場を得るため、「やそだ総研」の仮想完全子会社として「欧風堂」(おうふうどう)を設立いたします。

 社長には「やそだ総研」所長の八十田博人が就任いたします。自ら、仮想研究所の所長を名乗りながら、そのふてぶてしい風貌から「お前ははむしろ社長だ」といわれ、愛称というものは自分で決めるものではない、友人からの「愛」がこもった名称だと悟り、名実ともに社長たらんと欲したものです。

「欧風堂」という社名の命名理由を説明させてください。社長は一流とはいえないものの、研究者です。いつも欧州に学んだ色々な思想を胸に秘め生きています。しかし、まぎれもない日本人として欧州の事物を無批判に受け入れるものでもなく、またどれだけ研究しても欧州人になれるわけでもなく、せいぜい「欧風」だろうという自覚があります。お金と教養が豊富で欧州人の価値観に染まり日本人としてのアイデンティティーを捨てる人もいますが、それならむしろ「欧風」に留まりたいと社長は考えます。

 実際、社長は自分の能力の限界を知っております。外国を研究していても常に外国にいけるわけでもなく、恐らくは多分に誤解や無知もあるだろう、でもそれを恐れていても何も変わらない。毎日おいしいワインが飲め、いい服を着れるわけでもないけれど、それでも欧州研究は捨てられない。いや、実はチャーハンとラーメンが大好きだけど、それは欧州に学び続けたいという意図とは矛盾しないはずだ。社長はこのように考えて、今日まで生きてきました。

「欧風」とは、そういった社長の自嘲と矜持を込めた名称です。

 どうか、「やそだ総研」同様、ご愛顧賜りますよう謹んでお願い申し上げます。

  2005年12月2日      「欧風堂」社長(やそだ総研所長)

                          八十田 博人

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