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不思議な町 ピサ

 首都圏から完全撤退の引越し作業を1月くらいかけて毎週末にしています。本や紙資料を増やしすぎて、大阪の安アパートとオフィスにどう納めるかというところです。

 その作業で古い本を見つけました。グリエルモ・フェレーロの『権力論』。彼はイタリア人ですが、スイスなど国外で教えたので、英語や仏語からの訳です。フェレーロの経歴を見ると、彼もピサで学んだことがあるようです。

 なぜ、ピサということが頭に残ったかというと、前回の記事で書いたチャンピ大統領がこのピサにある高等師範(スクオーラ・ノルマーレ・スーペリオーレ=フランスのエコール・ノルマルに相当)およびピサ大学で学んでいるからです。この学校はフランスのエコール・ノルマルほど特権的なエリートを形成するわけではありませんが、大学の上を行くという位置づけは似ています。

 イタリアは日本と異なり、首都にあるローマ大学や大都会のミラノ大学が最有力というわけでなく、大学史上最古ともいえるボローニャ、それから別れたパドヴァなどの法学の伝統は全欧州的な名声があります。それについで法学で著名なのが実はピサ。もちろん、世界史でご存知のように、中世から近世にかけて、フィレンツェの支配下に落ちるまではジェノヴァと並び地中海全域に影響力のある都市国家でした。ガリレオやピサの斜塔は皆様ご存知のとおり。

 近代以降、政治、経済という意味ではパッとしませんが、この町は軍港や空港で歴史的にイギリスやアメリカとつながっており、ある種リベラルな思想を供給する町でもありました。確か、欧州憲法条約草案のコンベンション副議長「カミソリ博士」アマート元首相もこの法学部卒のはず。今、左翼民主党の指導者であるダレーマ元首相もヴェルトゥローニ・ローマ市長もピサの法学部に入学はしていたはず(この点、記憶によるのみでやや不確か)。この両氏は旧共産党時代に機関紙「ウニタ」の編集長を務めた党内エリートですから、大学に入ると政治活動で忙しくて卒業はしていませんが、やはりここを選んだわけです。

 このピサという知的な町、何か気になります。知識人史でいい本ないかな?

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