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千葉7区補選から考えたこと

 千葉7区で民主党の太田和美さんが勝ちました。千票に満たない僅差だったとの報道ですが、共産党が1万票くらいとっていますので、間違いなく過半数は自民党候補にはノーの判断です。逆に、共産党の存在を考えれば、太田さんも有効投票のさらに半分もとっていないこととなり、彼女も厳密に考えると実は完璧な国民の代表とはいえません。法律がその勝利を決定しているだけです。私たちは近年、無意識に共産党を除外して考える癖がついているかもしれませんが、1票の重みは平等ですからそれ自体は変なことです。

 政党である以上、自党の候補を全国の選挙区で立てることは自由で、むしろ立派なことです。しかし、現在の日本の選挙制度のなかで、比例区を除けば、共産党が議席をとれるのは、ごくわずかです。学者やジャーナリストに共産党を「自民党の補完勢力」という人があるのは、そのためです。そこまで言わなくても、自民党、民主党のどちらの候補にも正当性を与えない意味では、国政全体の不安定化を招いている存在ともいえるのです。

 政権をとる意思がないというところが、やはり批判点になるのでしょう。現実的に政権をとれない選択をしている。それは批判されてもしょうがありません。民主党に共産党と組む意思がないことも事実ですが、勝算をあまりにも度外視した候補擁立は、結果として、有権者の与野党の支持割合と逆の候補を当選させていることも多いということをもっと真剣に考えるべきでしょう。

 イタリアに再建共産党という政党があります。この政党は前回(2001年)の総選挙では、日本の現行制度に少し似ている小選挙区・比例代表並立制で、2大陣営のどちらにも加わらなかったので小選挙区議席はゼロ、比例区のみで議席を獲得しました。全国レベルでは数%は確実に得票するので、これでもイタリアでは得票率で5番目か6番目に相当します。今回は比例代表制に変わり、中道・左派「連合」に加わったため、勝者側のプレミアム議席の分配にも参加できて、議席は3倍くらいになりました。これを見ると、日本の共産党が中選挙区制復活を主張している気持ちも分からなくはありません。

 この政党は早くも下院議長ポストを要求して、中道・左派内に不協和音を生じさせています。反戦、反グローバルの政党が一つくらいあってもいいと思うのですが、どう見ても政権与党向きではありません。僅差で勝った中道・左派も頭の痛いところです。

 しかし、この政党は地方議会ではけっこう重要な位置にいます。イタリアの場合、地方議会は首長の候補者と支持政党が議会選挙で連結しており、長野県のような首長と与党が真逆ということは起こりません。敗れた側の首長候補は野党の議員筆頭として議席を得ます。再建共産党は第1回投票では独自の候補を立てることもありましたが、中道・右派と中道・左派の2大連合の候補がどちらも過半数をとれず第2回投票(決戦投票)にもつれ込んだ場合は、ほぼ例外なく中道・左派に入れました。その意味でこの政党の根本の方向性は、2回投票制という制度にも支えられ、決まっているといえます。

 この2回投票制は日本のように投票率が低い国では実施は難しいと思います。1回の投票ですら行かない人が多いのに、2回もやっては。しかし、この制度のいいところは、有効投票の過半までとらないと当選できないので、少なくとも投票する意思があった人の過半はとったということは、相当強い正当性の確保になります。

 実は民主党のほうにも真剣さが足りないのも、日本に2回投票制がなく、相乗りが多いからです。地方議会の多くで民主党は共産党以下の議席しか持っていません。国政で自民党と対立しつつ、地方のほとんどで手を組んでいるのも何か変な話です。「共産党と組むくらいなら、自民党政権継続でいい」と確信しているなら、別ですが。

 長野県知事が議会でリコールされ、選挙で返り咲いたときも、議会はそのままというのも変な話です。知事が解散しなかったから、というかもしれませんが、自らの判断のミスを議員たちはいかに償ったでしょうか。法律で定めていなくても道義的には辞職すべきだったんのです。

 私たちは、地方議会だけ首長を独立させた選挙で選ぶ一種の「大統領制」を取る理由を「民主主義の学校」だから、などと教えられてきました。今、私は自分が受けた教育を疑っています。民主党は、まず相乗りをやめて、地方自治制度から、設計のし直しを考えて見てはどうでしょう。2回投票制が難しいなら、首長選と議会選の連結から考えてはどうでしょう。

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