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民主政の夕暮れ?暁? イタリア総選挙の総括

イタリアの総選挙の結果がようやく見えてきました。

当初、圧倒的に有利と見られた中道・左派連合「連合」(ウニオーネ)が、ベルルスコーニ首相率いる中道・右派連合「自由の家」の猛追によって苦戦し、最後の最後に、まさに薄氷の勝利です。国内の開票が終わった時点で勝者の予測がまだつかず、最初は下院は中道・左派、上院は中道・右派と多数派が分かれるという最悪の結果も予想されました。

最後に残った新設の国外居住者選挙区の票が開かれてきて、ようやく上院でも中道・左派の勝利が見えてきたわけですが、議席でもわずか数議席の差であり、中道・左派が票の数えなおしを求めるのも無理もありません。いずれにしても最終結果はまだであり、明日の朝に逆転していた、ということになっても、もう驚けません。

前回の総選挙ではなかった左右の首相候補のテレビ討論では、3月14日の初回で中道・左派のプローディ元首相(前EU委員長)が有利に進め、もう勝利は見えたと思われました。ところが、その討論でも取り上げられた税金の問題に絞って、右派が猛烈な攻勢をかけた結果、いわば引き分けに近いところまで来たのです。ベルルスコーニ、恐るべし。

前回の総選挙の前にもベルルスコーニの資質を疑う特集を組んだイギリスの経済誌「エコノミスト」は今回も直前に特集を組みましたが、こうした国際世論もものかは、左派や司法官、財界の一部までありとあらゆる非難を繰り返し、四面楚歌になったかと思っていたのに、中道・左派の弱点である税金に終盤の論争をしぼって盛り返しました。

一つ目の住宅には課税しないという、財政的には無理と思われる提案を掲げ、第2回目のテレビ討論では、疲れの見えた具体性のないプローディに対し、優勢に転じました。実際には、前回の総選挙の公約である所得税減税を財源の裏づけなく実施したことが、今日の財政難につながっているのですが、その修復も放棄して、さらに減税を公約したわけです。

イタリアの財政状況を見れば、このような無責任で場当たり的な政策は無理と思えそうなのですが、選挙民には自分の生活に響かないことには動かない人もいます。国が傾いても自分の税金が安いほうがいいと思う人もいるでしょう。左派は増税するというイメージをつくり、何度も同じことを繰り返し言うことで状況そのものも変化させた、そのキャンペーンは、少なくとも中道・右派のボロ負けだけは防ぎました。

もはや高度成長のない成熟経済で国民の満足する政策は出しにくいなか、正直に増税が必要ということも難しく、政策の幅がますます狭くなり、穏健な改革を進めようにも、生活が改善しない国民の不満はポピュリストに向かう、というヨーロッパ政治全体の苦難をイタリアもよく表象しています。

新政権は民主政の暁となるか、それとも夕暮れを迎えることになるのでしょうか。あまり、楽天的になれない感じです。ベルルスコーニの批判を真に受けるわけではありませんが、反グローバリズムにも関わる再建共産党が実に6~7%の議席を占めるとなれば、この与野党超伯仲国会で、中道・左派が改革をするめることも容易ではありません。

なお、この選挙の分析した私の小論は、来月にある雑誌に掲載する予定です。

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