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参院選後、日本政治はイタリア化する?

安倍首相が連日、民放ニュース番組に単独出演していることに、参院選公示前に現職首相の地位を利用した事実上の選挙活動ではないかと批判があります。

イタリア政治をウオッチしている私には、昨年のイタリア総選挙の法的拘束のかかる前に当時のベルルスコーニ首相がやはりテレビに出まくったのを思い出してしまいます。当時のベルルスコーニ政権は経済失政で内閣改造、地方選敗北とまさに満身創痍、とても野党に勝ち目のないなか、少しでも自陣に有利になるように選挙法を改正したばかりでした。しかし、少なくとも野党のリーダー、プローディ現首相よりはハンサムで精力的ではあります。

政策はともかく、テレビ利用に関しては、民放主要3局の事実上のオーナーであるうえに、マーケティングの専用スタッフを抱えるベルルスコーニに分があり、選挙終盤までに支持率はじりじりと上がり、最終的に負けはしたものの、得票率で1%程度の僅差、上院では国内分では勝利、海外投票を入れてようやく2議席劣るという伯仲状態で、政権交代はしたものの、勝った左派もいつ政権が崩壊してもおかしくないギリギリの状態です。

まさか、世耕首相補佐官率いる自民党政権の広報チームが、イタリアの例にならったわけではないと思いますが、このテレビ利用の成果が気になります。ベルルスコーニは数々のスキャンダルを抱えた人物なので、安倍首相と比較したら、安倍さんがかわいそうですが、現役首相の選挙法規制前期間のメディア出演については、衆議院などの突然の解散もあり得るわけで、結局法規で拘束は難しいのではないかと思います。任期満了なら遡って期間を設定できますが。

やはり、問われるのはメディアの自覚です。もちろん、閣内にスキャンダル続きの安倍首相を追い込む質問で自民党敗北を加速するかもしれませんが、逆に質問が悪ければ、首相のイメージアップに荷担することになります。選挙前の決定的な瞬間に、この両面の危険性に備えるメディア側の覚悟はいかに。

ところで、もし参議院が伯仲となれば、勝者プレミアム制で下院で安定議席を持ちながら上院で2議席差のイタリアの現政権と同じような位置に日本の現政権も置かれます。ただし、日本の現政権のほうが衆議院の議席が圧倒的に多く、政党も2つなので、9党連立ともいわれるイタリアよりは全然安定的でしょう。またイタリアは両院対等ですが、日本では重要事項で衆議院に優越を認めていますので、政権維持は政策遂行の遅れを容認すれば可能です。しかし、このグローバル時代に、ただでさえ遅い対応を、より遅くしてよいのか、巨視的な見方も必要でしょう。

あえて、大連立も選択肢として考えるべきかもしれません。

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