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ヴェルトゥローニ・ガール

 イタリア総選挙の各選挙区・各党の名簿を見て気づいたこと。比例代表制のため、有力候補はみな当選が見えていて新味が少ないなかで、目を引いたのが、ラツィオ1区(ローマなど)にマリアンナ・マディーア、カンパーニャ2区にピーナ・ピチェルノという二人の無名の20代女性が民主党のリスト筆頭にいたこと。しかも、どちらの選挙区でも2位がヴェルトゥローニになっている。右派の「自由の人民」がほぼすべての選挙区で1位ベルルスコーニ、2位フィーニと上位二人を統一している(重複立候補が可能)のに対し、ヴェルトゥローニはわずか数ヶ所の選挙区で2位になっているに過ぎない。ちなみに、民主党はこの二つの選挙区で、それぞれ二桁の議席をとるのは確実で、上の二人自身はもう当選確実である。
 イタリアの報道も二人は誰か調べている。それによれば、マディーアは俳優の父(故人)ステーファノが、映画評論家としても知られるヴェルトゥローニが市長を務めたローマの市議会議員であったらしく、自らも首相府官房で働いていたらしい。ピチェルノは父親が地元の市長、自らはマーガレット(中道派)の青年部の役員であったようだ。確かに政治活動は経験しているが、リスト筆頭というのはやはり意外である。どうも、こうなったのは、南部で根強い人気があるデ=ミータ元首相(旧キリスト教民主党左派)を直前に高齢のためイタリア版「排除の論理」で外したために空いていたという事情もあるようだ。
 これだけ若い女性を候補に挙げたことが、少し心配になる(日本から心配するのはお節介でしかないが)のは、1999年(この年は私はイタリアにいた)のボローニャ市長選の記憶のためである。左翼の牙城のこの街で、当時、左翼民主主義者全国書記長、すなわち統一地方選挙の総責任者であったヴェルトゥローニは、市のスポーツ・青年担当理事の若い女性候補を立てて、中道・右派の候補に敗れた。対立候補は肉屋からたたき上げた、いかにも熟練の業界団体長、もともと商人の街でもあるボローニャでは、その点も強みになったのである。この後、ヴェルトゥローニはローマ市長となり、次のファッスィーノ書記長のもとで左派労組の全国委員長を立ててボローニャの市政権を奪還したが、1999年の選挙戦はどこか浮ついたイメージ戦略が多かったように思う。
 上述の女性候補の場合、選挙事務所をブティックのような作りにしていたのが新しいと報道されたが、さてイタリア人はこういうものを喜ぶのか、やはり選挙はもっと泥臭いものではないか、と思ってみていた。それに比べると、同じ旧左翼民主主義者の政治家でも、南部の伝統的左派支持層に人気の高いダレーマ元首相(現外相)などは、地道でとても安定感がある。
 もっとも、1996年総選挙では、「オリーヴの木」結成に力のあったメランドリ(現スポーツ・青年担当相)のような若い女性の台頭もあった。どちらに近い結果が出るか分からないが、わたしはやはりヴェルトゥローニのインテリ臭さに不安を覚える。オバマ・ブームに乗って、Yes, we can.をSi puo' fare.と言い換えても、新しい風は吹かないのではないか。

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