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「素粒子」は報道でなく、下品な風刺

 鳩山法相を「死に神」に例えた朝日新聞の「素粒子」について、弁護するつもりもないが、報道が一方的であることには警戒感を持つ。
 まず、他のメディアのいう「記事」「報道」は実はコラムであって、あくまで風刺を目的としていること。さらに、将棋の羽生永世名人に関する別の例えから、「永世死刑執行人」→「死に神」となっているシークエンスを外して報道しているのを読むと、実際よりも厳しい例えに見えること。そして、おそらく海外では、死刑廃止・停止(実はアジアでも広がりつつある)がアメリカと途上国を除けば多数派であり、辛口の批評になれていない我が国では受け入れ難いかもしれないが、こうした風刺はあり得なくはないこと。
 もっとも、風刺としても下品であり、直接的すぎて、あまりほめられる出来ではないことは事実だ。しかし、ああいう書きっぱなしの風刺コラムを、特に鳩山氏自身以外の弁護士兼評論家のような人物が、形式的な法律論議だけで、風刺の民主主義社会における意義も考察せずに、報道記事と同様に「名誉毀損」というのは、あまりに大人げない。
 いちばん不幸なことは、ただでさえ、近年の凶悪犯罪に対応した厳罰化で冷静な議論ができなくなっている死刑論議がますます一方的な展開になっていくことを許したことで、朝日が責められるのは、こうした展開を許した、安っぽい風刺をしたことである。死刑論議は言論で真正面から堂々とすればよい。

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