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バルビー映画をみる

 昨夕はクラウス・バルビーの人生を追った映画『敵こそ、我が友』を銀座テアトルシネマで見た。
 前回にここでルーマニア映画を見たときと同様、他の用で銀座に来たのだが、通り過ぎることができなかった。この日は、半蔵門線の三越前で降りて、日本橋から銀座に歩いているうち、しばらく来ていなかったので、界隈の変化に驚きつつ、イッリのバールを見つけて水分補給、文具の伊東屋と本の教文館に向かった。
 文具も本も銀座でなくても買えるのだが、いまどきタイプライターのリボンは普通の文房具店にはないし、キリスト教関係の本のトレンドを追うにはやはり専門書店である。別に信仰に目覚めたわけでも、仏教から改宗しようというわけでもない。学生の関心に応じて、こちらも久しぶりに宗教改革から勉強し直したくなったのである。参考になりそうな本を二三冊買った後、映画の前に、北海道から上陸したスープカレーをブームに2年ほど遅れて初めて食べる。
 バルビーについては、もちろん以前から頭にはあったが、特に勉強する気にはなれなかった。ナチ関連は日本でも研究の層が厚く、そのうち誰かがいい本を書いてくれるだろうと他力本願でいた。しかし、映画はそれ以上にバルビー周辺の貴重な映像が見られてよかった。
 個人的には、バルビー自身が殺害に関わったらしい、フランス・レジスタンスの英雄、ジャン・ムーランのパンテオン入りの式典で、ド・ゴールらが見守るなか、当時文化相だったアンドレ・マルローがまるで朗唱するような演説でその功績を讃えているところが印象的だった。やはりその死にバルビーの関与がちらつくチェ・ゲバラの遺体も写真ではよく見ていたが、動画で見たのは初めてだ。生前から英雄視されていた(もちろん反共側からは犯罪人だが)チェらしく、遺体の上から覆い被さるようにアップで写真を撮るカメラマンの下で、まるで宗教画のキリストのような風貌のチェが動かないのが、寂しい。がっしりした体格かと思っていたが、ボリビアで健康を害したのか、もともと喘息持ちの体質のせいか、肋骨が見えるほど、意外なくらい痩せていた。
 バルビーの弁護士は、確かフセインの弁護もしていた人だが、裁く側の偽善を指摘する彼の発言にも一理あることは否定できないだろう。
 バルビーの前半生の動画は、秘密活動ゆえ、あり得ない。それを証言や周辺の歴史的映像で、かなり分かりやすく描いており、教育的にもよくできている。90分だから、DVDになれば(昨年公開のフランスではもうなっているのか?)大学の授業で見せることも可能だ。

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