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金沢の文化力(2)

 実家で遅い昼食をとりながら、北陸放送(石川県の民放だが、富山県西部の私の実家では見られる)で夏に行われた「金沢城オペラ祭2008 THE 地球 LIVE」の再放送を見る。
 金沢城の三の丸広場でこの夏に行われていたようで、「オペラ」といってもクラシックではなく、財津和夫を中心に、平原綾香元ちとせ中孝介といった、若大人好みの実力派歌手だけのいいライヴ。観客も大人が目立った、落ち着いた内容で、東京でもこの組み合わせはそうそうないだろう。

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高岡大仏の唄

 私の故郷である富山県高岡市には江戸時代にできた大仏がある。地元では鎌倉、奈良と「日本三大仏」と呼んでいるが、他の土地では誰も知らない。田舎では大人がこういうウソを子供に教えるから、始末が悪い。
 その点、地元のアマバンドが作ったラップ「高岡大仏の唄」は、今日初めてラジオで聞いたが、日本でも世界でも知られていないことを前提で歌う歌詞が、真の郷土愛に思えて、好感が持てた。

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池袋の地下で叫ぶ

 スーツケースのネジが片方とれてしまい、池袋の東急ハンズにネジを買いに行く。師走の昼間、地下鉄はがら空き、逆に池袋界隈は大混雑。
 帰りに池袋の地下を歩くと、営団地下鉄と都営地下鉄の間の通路両脇にホームレスとおぼしき男たち十数人。このところテレビが報じる若い人は一人もいなくて、全員中高年、みんな厚着と汚れで全体的に黒っぽい。一人は、まるで顔役ぶって(本人だけそう思っているタイプ)脇で寝ている男たちに「タバコないか」と声をかけつつ、落ちていたワンカップ大関(もともとガラスコップに入っている、キオスクで買えるいちばん安い酒だ)のビンを拾い、中身がないと見ると、「畜生」などと叫びながら天井に投げつけ、割ってしまった。ワンカップ大関のコップは結構しっかりしているので破片もぶ厚くて危ない。
 幸運な人たちは、デートやショッピングの真っ最中。そういう人々を見るしかない人たちの辛さは想像できる。いや、想像できない、と書くべきか。

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元財務相たちの復権?

 23日は日本では天皇誕生日だったが、ドイツではシュミット元首相の90回目の誕生日だった。引退後もZeit誌などで論考を発表し、発言を続けていきたことは数々の邦訳でよく知られているが、金融危機のさなか、改めて武骨ながら石油危機下の国際経済やテロに断固たる決断をしたこの政治家に尊敬が集まっている。
 浮ついたことを言って人を喜ばせる人ではない。サミットでも日本の首相がつまらない演説をすると平気で新聞を読んでいた人である。そんなことをしても、彼をとがめる人はいないほど重みがあった。ボン・サミットでは各国に「宿題」を課し、実行を約束させた。財務相経験者の持つ安定感ということでは、現在のゴードン英首相と通じるところがある。
 一方、これと別に、ユーロ導入時の財務相だったヴァイゲル(安定・成長協定の産みの親である)が、元閣僚らの一種の「元老院」を作って国政を諮問し、政治への信頼を取り戻す?べきだと表明。確かに、もともと元老院をもとに上院を作った他国と異なり、ドイツの連邦参議院は各州政府の代表からなるので、まったく分からないでもないが、このニュースをどう読めばいいか、ドイツの内情の理解不足で分からない。これは、老人の思いつきと思っておけばいいのだろうか。こんなことを言わせるほど大連立に問題が生じているのか。いずれにしても大連立の事実上最後の年、欧州議会選挙の年である来年を控えて、さまざまな言挙げが行われるのだろう。

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BRIChristmas

 クリスマス直前の数日は、BRICs諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国らの資源大国)の動きが目立ち、まさにこれらの国々の台頭が目立った今年の総括にふさわしい状況。
 サルコジ仏大統領はカーラ(ブルーニ)夫人とともにブラジル訪問。兵器購入を技術情報の一部提供とのバーターでかちとった。カーラ夫人は色鮮やかなドレスでブラジル人を魅了、シャンソンの大御所、シャルル・アズナズール(すでに高齢で2年前の日本公演は最後の来日と言われたが)のコンサートまであり。
 中国は、EU諸国に続き、ソマリア沖の海賊取り締まりに艦船の派遣を決定。対応の遅れる日本政府を尻目に「国連常任理事国として積極的役割を果たす」と決断を誇示。
 ロシアでは、ガス産出国の共同機構化(OPECのガス版)を討議、ロシア、イラン、カタールで世界のガスの過半を占めるという。
 もはやG8の時代ではないのを痛感させられる。少なくともフランスはその現実を直視し、生き残り戦略を図っているように見える。イタリア生まれの大統領夫人まで駆使して。

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なぜ占拠してはいけないのか?

 派遣労働者の雇い止めによるホームレス化の報道が続いている。特に今夜はクリスマス直前ということもあってか、各局が特集していて、時間差はあるが、このテーマだけ追ってチャンネルを渡り歩くことができるくらいだった。
 以下は、福祉の専門家でないにしても、一応研究者であることも忘れて、ものすごく非論理的なことを、空想したことである。
 自分がホームレスになったと想像する。しかし、なぜ憲法で定められた生存権があるのに、空いている空間に入ってはいけないだろう。個人宅では家宅侵入になり、公的な施設でもそれは同じだろうが、なぜ学校の体育館や公民館で寝泊まりしてはいけないのだろう。災害時にはそうしているではないか。夜だけでもいいではないか。朝には掃除させてもいい。管理が危なければ警官に巡回させてもいい。
 学生の部活や町内の集会が人間の生命より重要だろうか。生命線上の人間を排除してまでしなければいけないことだろうか。自立を促すのはいい。しかし住所や連絡先がなければ仕事にもつけないのである。自立支援センターがあるかもしれない。金があるうちはネットカフェもあるかもしれない。しかし、どれも腑に落ちない。
 ここまで雇用が厳しくなる前は、ホームレスのなかには望んで自由な生活をしたがっている人もいるという説明もあった。いわく、自立支援センターに空きがあったのに入らなかった、等々。しかし、現状はそういう段階ではもはやないだろう。
 かつて、学生運動や社会運動が盛んだったときに、空いている住宅に勝手に住む行為があった。実際に、ヨーロッパでは、住まないで空いている家に重い税金をかけたり、空き家に長く居住の実績があると住むことが認められたりする国もある。
「屋根のあるところで寝させろ」それくらい、言う権利はないのだろうか。

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『原典ヨーロッパ統合史』絶賛発売中!

 遠藤乾編『原典ヨーロッパ統合史:史料と解説』(名古屋大学出版会、写真=マルーン色の帯)が完成しました。ただ今、発売中です。学術書を売っている大きな書店にはあります。『図書新聞』2896号(11月29日)の3ページにも大きな書評が出ています。

Endo 協力者を名乗るには、他の人々に比べても、あまりにも小さな貢献しかできていない私ですが、関われたことは幸せでした。編者と偶然、滞在先のフィレンツェで会った日のことは、昨日のように思い出されます。

 これだけの内容の史料集が出るのは、日本では奇跡、空前絶後です。税込9975円、一万円札で25円しかお釣りが来ませんが、それだけの価値はあるし、学術書の発行の難しい状況下で、この量(804頁!)で1万円を切ったことは、実は編者とスタッフの凄い作業と出版会の凄いご尽力によるものです。

 ぜひ、大学に限らず読書人の皆様個人でも、そして長く読まれるように図書館にも、ご購入のほどを。これからの季節、最高に知的なクリスマス・プレゼントにも。

 そして、既刊の通史、遠藤乾編『ヨーロッパ統合史』(名古屋大学出版会、写真=ドジャーブルー色の帯)も引き続きご愛顧のほどを。History

できれば、全国すべての大学に「ヨーロッパ統合史」の授業を!外交史のプロ、アマ問わず、この2冊があれば、15コマの講義は大丈夫!でしょう。

(当分の間、この記事を常にトップに置きます。実質的な最新記事はこの下です。)

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果たされぬペーパーレスの夢

 われわれ人間は、コンピュータを導入したとき、紙が不要になるかのような錯覚に陥っていたが、現実は、特に日本人は、一度プリントアウトして見てみないと安心できぬと言って、下書き段階から何度も出力し、結局、今まで以上に紙を使っている。昔なら書式が一枚で修正液で直したのも、きれいに見えるのと、ごまかしが効かないということで、PC書式を何枚も書き直すようなこともしている。

 これは、誰もが毎日実感していることなのだが、それでも主要なテキストがPDF化されていれば、砂漠のような土地に行っても、少なくともモノを考えることはできる(はずだ)。特定の哲学者の研究をしている人は、普段、その哲学者についての研究書を多読している中で、休暇中は、むしろその哲学者そのものだけじっくり読みたいということがあるのではないか。そういうとき、やはり電子版で全集ができていれば、便利である。

 2月に3週間、学生の引率でオーストラリアに行くことになった。そこで心配なのが、滞在中の勉強材料である。仕事は学生の面倒見なのだが、こちらは大学に待機して自由に動けないが、いろいろ待つ時間が長い。しかし、本や資料を多数広げての本格的な勉強は無理である。紙コピーもばらばらになるので機敏な対応が必要なときに邪魔になり、不適である。

 ということで、冊子はあきらめ、コピーで持っている論文(特に読むべきなのに読めていないもの)類を可能な限り、PDF化して持って行くことにした。そこで買ったのがスキャナである。既存の複合機のスキャナが鈍すぎる(「牛歩スキャナ」と命名した)。1分18枚読めるという。それなら、1分でちょっとした論文1篇は読めるはずだが、果たして。結果は後日、ご報告。

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2009年の記念行事(4)イタリア編

 昨日、ようやく来年2009年の記念切手発行計画が明らかに。そこにはイタリア政治研究者待望の二人が。

ルイジ・ストゥルツォ師(キリスト教民主党の前身、人民党創始者)没後50年(10月発行、日は未定)

ノルベルト・ボッビオ(政治学者、終身上院議員、2004年没)生誕100年(10月16日発行)

なお、イタリアでもダーウィン生誕200周年記念(2月12日発行)が出ます。

ボッビオは私たちにとって神のような存在です。邦訳『イタリア・イデオロギー』(馬場康雄・押場靖史訳、上村忠男解説、未來社)を読まずして、イタリア政治は語れません。

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2009年の記念行事(3)

 2009年の切手発行計画から分かる、歴史的記念行事。今回はヨーロッパに限定せず。

(国連)ウ・タント(国連事務総長)生誕100年

(日本)日本オーストリア交流年2009、日本ハンガリー交流年2009(どちらも10月16日発行)
 まるでハプスブルク復活のような共同発行。

(アメリカ)オレゴン州昇格60年
 エドガー・アラン・ポー生誕200年(江戸川乱歩の名前のルーツになり、シャーロック・ホームズ作者のコナン・ドイルにも影響を与えた作家)

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静かでも強い言葉

 普段はあまり見ない、NHKの「時論・公論」という番組を見て、冷静ながら強い言葉で政府の雇用政策を論評している人を見て、しばしPCの作業の手を止めた。はっきりとした口調に、この大学の先生はきっといい授業をされている人だなと思ったら、NHKの解説委員、後藤知恵氏だった。
 NHKはあまりはっきりと政府の批判をできないのではないかと疑いの念を持ちがちなのは、私だけではあるまい。しかし、この日のこの番組は、この先入観を覆し、あるべき解説の見本のような素晴らしいものだった。話し方の見本として学生に見せようと途中から録画したくらいだ。
 曰く、過去の雇用政策がなぜ期待された効果を生み出せなかったのか十分に検証をせずに、どうして効果のある雇用政策を立案できるのか。先進国で最大の財政赤字のこの国で「ないよりはいい」というようなことで政策を打っていいのか。「全治3年」と明言しながら、3年間の道筋は何も示されていないではないか。国際競争力をつけるためと称して製造業に派遣労働を導入した企業が、国際経済の悪化を理由に手のひらを返したように派遣を切るなら、この間に何をしていたのか。(こういう悪化した環境でも耐えられるような企業になるように競争力の強化をしなかったのか。)経営者が身を切る努力をしていないではないか。
 上に書いたのは、放送の正確な再現ではなくて、私に伝わってきた内容を私の頭で理解した形で書き直したものである。もちろん、上記のようなことは他の論者も言っているかもしれないが、静かに無駄なく、しかし臆することなく明確に批判している姿に敬服した。こういう間合いで諄々と伝えている解説を他に見たことがない。
 民放にない、NHKの可能性を見た。こういう語りは民放ならさせないだろう。しかし、これが王道だ。派手さはない、感情の爆発もない、しかし、構成の整った、ぶれない言葉。よい勉強をさせて頂いた。
 セミ学生との忘年会の帰りで、ほろよい加減で見たが、いかん、自分ももっと勉強しないと、と思った。思うに、同じ「全治3年」でも石油危機の最中に福田赳夫蔵相が語ったほうは、はるかに説得力があったはずだ。

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2009年の記念行事(2)イギリスなど

 前項に続き、ヨーロッパ諸国の切手発行計画から分かる、2009年の記念行事。

(イギリス)ダーウィン生誕200周年(2月12日発行)

 ブリッティッシュ・デザインの名品(ミニ・スカート、赤い公衆電話ボックス、オースチン・ミニ、コンコルド、ペンギン・ブックス、地下鉄路線地図、2階建てバスなど、1月13日発行)
 そういえば、日本にミニ・スカートを伝えたモデルのツィッギーもイギリス人。

 産業革命のパイオニアたち(図案未定、3月17日発行)

(ブルガリア)NATO(北大西洋条約機構)60周年

(リトアニア)ヴィルニュス(ヨーロッパ文化首都)

       リトアニア(国名の初出)1000周年

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2009年の記念行事(1)

 私の趣味は切手収集です。「わー、根暗。」「オタク?気持ち悪い!」そういう声は無視して、でも弁解すると、ヨーロッパでは、大人の趣味なのです。フィンランドのアニメ「ムーミン」にも哲学者で切手収集家のキャラがいましたよね。とてもヨーロピアンな趣味なのです。たぶん、日本では高度成長期にブームになった際に、子どもや投資目当ての大人の収集が目立ったために、そういう偏見があるでしょう。

 実は、私の場合、仕事にも無関係でなく、毎年、この頃に発表される各国の記念切手発行計画を見ると、来年は歴史的記念行事として何があるか、分かるのです。今回はヴァティカン市国(ローマ教皇庁)の計画から全ヨーロッパ的に面白いものを。

 ヴァティカン市国成立80周年

 ハイドン没後200周年

 ヘンデル没後250周年

 メンデルスゾーン誕生200周年

 第2ヴァティカン公会議召集50周年(開会は1962年、世界規模の大会議なので、ヨハネ23世による召集から準備に2年以上を費やした)

  

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マックブック、今日も買わず

 ボーナスが出て、家電の一つくらいは買えそうで、また帰りにヨドバシカメラに行ってしまう。新型マックブックの鍵盤もテストし、指操作だけかと思っていたパッドが実は下部はこれまで同様、ボタンのようにも動くことがわかり、心配していた誤動作の可能性は少ないことが分かり、あと一歩で買いそうだったが断念。
 理由1:スクリーンのある側の縁の、いわゆるピアノ風仕上げ(欧州でサムスンなどが大型テレビでこれを使い、成功したという)のピカピカする黒色が何か安っぽく気に入らない。
 理由2:ボディーがアルミの1枚板になったのに、この部分が縁と中央部の段差が大きく壊れないか心配。
 理由3:オプションのソフトを加えると20万円ほどになる。それなら、ドラム型洗濯機を買うべきでないかと思った。イタリア留学時にコインランドリーで親しんだドラム型(イタリアはずっとドラム型)がようやく近年日本で出てきて前から欲しかった。
 結局、洗濯機も買わず。暇でもないのに油を売った。

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欧州連合・艦隊?

 またしても今朝の衛星ニュース(ドイツ)から。どうも、ソマリアの海賊退治にEU各国の艦船が共同で動くらしい。まさに、欧州「連合艦隊」ならぬ、「欧州連合」艦隊?

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新型マックブックを買うべきか

 駒場の院生時代に触れたコンピュータがマックだった(会社員時代のPCはウィンドウズですらないDOSだった)ことから、個人用のノートはずっとマックである。共同研究の合宿で仲間たちがずらっとパナソニックのLet's Noteを並べても、その堅牢さ(確かに2本の堅い柱が入って壊れにくそうだ)にもかかわらず、そのデザインの悪さ(御免!)にどうしても買う気になれなかった。実家に帰ると3人の工学士がいて、みな車の性能の話をするが、私は自分で買うなら、いちばん気にするのは色とデザインだ。今の工業製品は私の技能水準(いまだに携帯のカメラでズームができず、笑われた)のはるか上にあり、性能には不満がない。
 しかし、マックブックを去年の引っ越し時に壊し、離職後の財政難のなか、新品をローンで買った(その後、今の仕事を得て、完済した)のだが、その新品もポリカーボネート樹脂の弱さと角の部分が弱い欠陥から、持ち運んでいるうちにヒビができて、左右両側をセロハンテープで留めている状況である。性能には文句なく、1回もクラッシュしていない。
 ところが、新しいマックブックの購入はボーナス支給後も迷うだろう。見本を見てきたが、デザインは最高にいい、函体もアルミの一枚板で、角は継ぎ目がなくなり強固。しかし、新型のパッドがボタンがなくなり、すべてが指操作で1本から4本まで指の数で操作が違い、新しい操作を覚えなければいけないが、習得できても誤操作が怖い。i-phoneも同じ理由で買わなかったのだ。変えてほしいのは、そこではなかったのだが。

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