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静かでも強い言葉

 普段はあまり見ない、NHKの「時論・公論」という番組を見て、冷静ながら強い言葉で政府の雇用政策を論評している人を見て、しばしPCの作業の手を止めた。はっきりとした口調に、この大学の先生はきっといい授業をされている人だなと思ったら、NHKの解説委員、後藤知恵氏だった。
 NHKはあまりはっきりと政府の批判をできないのではないかと疑いの念を持ちがちなのは、私だけではあるまい。しかし、この日のこの番組は、この先入観を覆し、あるべき解説の見本のような素晴らしいものだった。話し方の見本として学生に見せようと途中から録画したくらいだ。
 曰く、過去の雇用政策がなぜ期待された効果を生み出せなかったのか十分に検証をせずに、どうして効果のある雇用政策を立案できるのか。先進国で最大の財政赤字のこの国で「ないよりはいい」というようなことで政策を打っていいのか。「全治3年」と明言しながら、3年間の道筋は何も示されていないではないか。国際競争力をつけるためと称して製造業に派遣労働を導入した企業が、国際経済の悪化を理由に手のひらを返したように派遣を切るなら、この間に何をしていたのか。(こういう悪化した環境でも耐えられるような企業になるように競争力の強化をしなかったのか。)経営者が身を切る努力をしていないではないか。
 上に書いたのは、放送の正確な再現ではなくて、私に伝わってきた内容を私の頭で理解した形で書き直したものである。もちろん、上記のようなことは他の論者も言っているかもしれないが、静かに無駄なく、しかし臆することなく明確に批判している姿に敬服した。こういう間合いで諄々と伝えている解説を他に見たことがない。
 民放にない、NHKの可能性を見た。こういう語りは民放ならさせないだろう。しかし、これが王道だ。派手さはない、感情の爆発もない、しかし、構成の整った、ぶれない言葉。よい勉強をさせて頂いた。
 セミ学生との忘年会の帰りで、ほろよい加減で見たが、いかん、自分ももっと勉強しないと、と思った。思うに、同じ「全治3年」でも石油危機の最中に福田赳夫蔵相が語ったほうは、はるかに説得力があったはずだ。

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