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NAFTA flu

 今朝ついに成田空港で新型インフルエンザの日本人感染者が発見された。国際空港は入国前は国際領域なので、国内感染の際の措置(学校の休校などもあり得る)は取られないようだが、連休後の1週間はやはり警戒すべきなのだろう。
 ところで、感染者が特に多いメキシコ、アメリカ、カナダは北米自由貿易協定(NAFTA)で経済的につながっている。そこで、今回のインフルエンザを"NAFTA flu"と呼ぶ向きも英語圏メディアにはあるようだ。この用語には、単に地理的な近接性以外の政治的含意がある。
 たとえば、日本でもCSで放送されている「デモクラシー・ナウ」は、今回のインフルエンザの広がりには、新自由主義による規制緩和で、本国アメリカで緩い規制しか受けない巨大アグリビジネスが新興国に市場開放を要求したことも部分的には(あくまで部分的であり、直接の因果関係が明確ではないが)関係あるという説を唱える学者へのインタビューを紹介している。
 もちろん、実際には感染は欧州やアジアに広がっているので、行政的、医学的にはこういう用語はバツだろう。しかし、一見「全世界」に見えるものの、大ざっぱな見方をすれば、メキシコと直接の接触のある国(アメリカ、カナダなど貿易相手国)と、お金があって国民がメキシコ(およびアメリカ、カナダ)に自由に行ける国だけに広がっている(途上国では医療が整っていなくて把握できない可能性もあるにしろ)という、言ってみれば「金持ち病」的な側面がないわけではない。
 むしろ、注意したいのは、今回の感染により、アメリカ国内でNAFTAへの反省が確実に起こっているだろうが、上記のような新自由主義批判で述べられるにしろ、メキシコ(ないしヒスパニック)への偏見に基づいて述べられるにせよ、ナショナリスト的な主張が、抗しがたい「衛生上の」問題の背後に隠されたまま、展開されるのではないかということだ。

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