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個人演説会に行ってみた

 総選挙の候補者の個人演説会に初めて行ってみた。特定の政党、候補者の名前やそれに対する支持、不支持を書くと公職選挙法に触れる可能性がある(摘発されることはまずないだろうが)ので、それらについては一切書かず、大多数の人は行かないであろう、そのやり方について、政治通ではない一般向けの「政治(学)入門」として、流れだけを客観的に述べる。本当は書きたいことがいっぱいあるのだが、それは選挙終了後にしたい。
 歩いて15分ほどかかる隣町の公民館で演説会は開催された。どうして日程が分かったかというと、ホームページの更新ができなくなる(本当に公職選挙法の運用はおかしい)公示日の前日までに、この候補者の選挙期間中の全日程が掲載されていたから。それだけ組織の力があるということだ。
 ほとんどの日の夕刻(日中は選挙区を回って辻説法なのだろう)に日程が設定されていて、同じ日に開会が30分刻みで2、3ヶ所で行われる。これは、一つの演説会が30分で終わるということではなく、実際に見て分かったが、複数の弁士が立ち、終わった人から時間差で次の会場に向かうのである。
 さて、公民館の前では、もともと支持者しか来ない想定なのだろう、皆さん挨拶に忙しい。私は新参者で誰も知らないが、私にも挨拶される。返す言葉もないので、会釈だけ返す。入口に入ると記名用の紙がある。「町会」ごとに分かれた紙(会員が署名)と、町名のない紙があり、当然わたしは町名のない紙に氏名、住所を記名する。支持者ではないが、話を聞かせてもらう礼儀として氏名、住所を書いてきた。
 どうも皆さん誘い合わせて来るのだろう。折りたたみ椅子をざっと150脚ほど並べてあるが、隙間を空けず、行儀良く固まって座っている。椅子にはもちろん、党のマニフェスト(要約版)と候補者のビラ(法定の証紙が貼ってある)。ほかに対立政党を批判した、小さな「選挙期間中でも自由に配布できる」政治活動パンフレット(これも公職選挙法の微妙なところで「選挙活動」用のパンフレットであるマニフェストと異なり、通常の「政治活動」用のパンフレットははいつでも配布できるのだ)。
 私の周りだけ空白が目立つので、後から来た人が座れるように壁に面した列の一番奥まで行って座った。開会になっても入る人は続き、たぶん「真打ち」登場まで時間があることをもうご存じなのだろう、開会後15分過ぎまで入り続き、会場はいっぱい、中が見える廊下にも椅子が並べられ座っている。ただ、来ている人がほとんど50歳以上という感じだ。私より若い人は見あたらなかった。かろうじて数人40代がいるかどうかという程度だ。つまり子育て世代はまずいなくて、おじいさん、おばあさん(あるいは、ひいおじいさん、ひいおばあさん)世代だ。
 司会は区議か支部の人のようで、最初に挨拶したのはこの地区から出ている区議で、彼がこの演説会を企画したらしい。次に都議が挨拶。いずれも数分程度。
 ここで、応援弁士の女性参議院議員が登場。国政と候補者について15分くらい話す。どうもこれより前に支持者の「女性の集い」というのもやってきているようだ。この地区の選挙カーにもこの日は乗っていたらしい。内容はともかく、演説は予想以上に上手だった。少なくとも、ここの聞き手には合っている。
 候補者の来る時間の調整のためか、次に、演壇の横に座っている7、8人の「町会」長(いずれも長老といった感じ)の代表者たる「連合町会」長が短く挨拶、さらに、また別の都議が短い応援の言葉を述べた。ここまでで30分強。いよいよ真打ち、候補者その人が登壇、20分くらい話しただろうか。内容は書かないが、一日中、選挙カーや辻立ちしてまだ話す政治家は体力がある。それだけは感心する。候補者の出入りの際に「町会」長たちが全員立ってお辞儀するのは言うまでもない。
 この「町会」という言葉が、最後まで引っかかった。私の郷里では「町内会」といい、聞き慣れなかったので、その政党の支持者の地域組織かと思ったが、そうではなく、東京では「町内会」を「町会」と呼ぶ例が多いようだ。田舎と違い全戸参加でなく新しい住民が入っていないのだろう。でないと、価値観が違う人が多く住む都会では特定政党への集中的支持は成り立たないはずだ。区議は、町会を通じて、皆さんにお声をかけたと言っていたから。「町会」長さんたちは大事な存在らしく、途中で各「町会」長の名前を読み上げ、本人が立ってお辞儀する紹介もあった。
 候補者は演説が終わると、次の会場に向かう。これで終わりかと思ったら、そうではなくて、区長の応援メッセージの代読、そして最後に全員起立で「恒例」の「勝つぞ」コールを三唱する。ここで立たないのは勇気が要ったが、支持すると決めているわけではないので、立たなかった。各弁士の演説の終わりと送り出し(順次次の会場に向かう)の際の拍手も礼儀でしてもよかったが、やはり自分の心に正直でありたく、拍手はしなかった。ただ、憮然としたり、にらみつけたりするような失礼な態度はとらなかったつもりだ。話をきくなかで首をかしげたことはあると思うが。
 時間はぴったり1時間で終わり。これが日本の選挙の原風景だろうか。ただ、こうした機会を作っていることはよいことだと思う。たとえホームページ等にその主張は掲載されていても、候補者の人物を判断するというために、時間が限られていても、実際に目の前で見ることは参考になる。
 残念ながら、この候補者と対立するある候補者には、まともな選挙用の個人ホームページもなく(党のホームページはあるが)、選挙事務所に電話して「近くで個人演説会はあるのか」と聞いたが、そもそもそういう形式をとっていないのか、ピンと来ないようで、答えが要領を得なかった。辻説法だけというのも、訴えとしてはどうだろうか。当選したなら、本腰を入れて地域の組織を作ってほしい。やはり対立する政党が恒常的に並び立って競わなければ、日本政治の弁証法的発展はあり得ない。

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