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沖縄問題の本質を教えてくれる本

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 普天間基地の移転問題の続くなかで、沖縄の問題をもう一度、広い観点から総合的に見直したい人に格好の本がある。大久保潤『幻想の島 沖縄』(日本経済新聞出版社)だ。日経の那覇支局長だった方だが、この本は沖縄問題の理解に必読だと思った。
 例えば、「日本の米軍基地の75%は沖縄にある」という一般的な記述に注意を促す。この数字は、あくまで米軍専用の基地のみであって、全国各地にある自衛隊との共用基地を入れれば、この数字はもっと低くなる。もちろん、著者は沖縄の負担が軽いと言っているのではなく、われわれがまるで他人事のように考えていることに警告しているのである。
 本当に参考になる記述が多い。「沖縄が嫌うのは米軍というより、海兵隊」、沖縄振興策自体の問題性、低い職業意識、会社というより店のような企業、力のある労組がない、沖縄人が多く手がけない観光業、などなど。しかし、著者がとりわけ気にしているのは、「自由な議論がない」こと。
 単純な基地反対論者は好まない本だが、避けて通れない様々な問題点を網羅した、いわゆる「沖縄本」にはない、客観的な事実を教えてくれる本だ。
 学生にもぜひ読ませたいが、自分の担当授業の枠には、うまくはまらない。

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