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マン島とEU法

「かわいいにもほどがある」と評されているネット・アイドルが来日した。このベッキー・クルーエルという少女は、マン島在住であるという。このマン島というのが、ヨーロッパ・マニアでもなかなか説明が難しい場所なのだ。私も、この点の勉強をサボっていたので、ここで勉強しよう。
 教科書的には、イギリス(連合王国)の一部ではなく、自治権を持つ属国(Crown dependency)で、旧植民地・自治領諸国などが入るイギリス連邦(Commonwealth)には入らない。属国であるから、外交・軍事はイギリスに頼り、国連などに自分で入る完全な主権を持った国ではない。外国人の入国には、イギリスとチャネル諸島(これもややこしいところである)と同じ入管法が適用される「コモン・トラベル・エリア」に属し、英国に入国できる人はマン島に入国でき、その逆も同様であるという。とすれば、このたびのクルーエル嬢もイギリス人と同様の条件で日本に入ってきたのだろう。もっとも報道にあるのは、「在住」であって、本人の国籍がどうなっているかはよく分からない。
 そこで気になるのが、EUとの関係である。マン島は、EU加盟国ではなく、EUが域外周辺国と結ぶ連合協定も結んでいないが、EUと「特別な関係」にある。いうまでもなく、イギリスはEU加盟国であるが、イギリス自体、ユーロは導入せず、社会政策にはEU法の適用除外がある。マン島は外交・軍事はイギリスに依存するが、他には自治権がある。しかし、EUが非加盟の周辺国とEEA(欧州経済領域:スイス以外のEFTA3ヶ国と経済面でほぼ一体化)や連合協定で、特に経済面でその規制が域外にも相当の影響力があることを考えると、何か影響はありそうである。
 もちろん、教科書的には、EU法の世界では有名な、イギリスのEC加盟法の「附属第3議定書」(チャネル諸島とマン島に関する規定)というのがあり、EU法は限られた分野のみしか直接適用されないことになっている。しかし、多くの分野でイギリス法を準用しているのだから、そのイギリス法がEU法の影響を受ければ、マン島にも影響が出ようし、何よりも「限られた分野」とはいえ、直接適用がされる分野もあるのである。この機会に、この議定書を読んでみた。大体、以下のようなことのようだ。
・マン島はEUの関税法規が適用される領域(関税同盟に含まれる、とは当然明言されないが、ほぼ同様の適用を受ける)に含まれ、対EU貿易で農工業品は自由移動。(EEA諸国ともほぼ同様)
・マン島財政の自主性を保つために、EUから補助金は受け取らない。
・イギリスからマン島に認められた権利がイギリスのEU加盟により失われることはないが、マン島民にはEU法にある人とサービスの自由移動は保証されない。
・この議定書の改正には、イギリスを含むEU加盟国すべての承認が必要。
・マン島は、EUの自然人、法人すべてに同等の対応をしなければいけない。
 まあ、知らないことだらけだ。マン島の住民のことをManxmanということも、マン島(Isle of Man)のURL国コード(im.)があることも、調べるまで知らなかった。

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