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エラスムスって天神様?

 NHK文化センターでの社会人向け講座の担当回3回分を終えた。主たる講師の児玉昌己先生へのお手伝いで話していたが、EUの域内留学支援計画の名前になっているエラスムスを説明する際に、エラスムスはヨーロッパの人文主義者の矜恃を表すアイコンで、その肖像があちこちで持たれ、船の舳先に像が彫られることもあったのですよ(これはカッチャーリなどからの受け売りである)などと語って、思わず、日本の天神様(菅原道真)と少し似ていないこともないですね、などと続けた。
 が、話しているうちに気づいたが、確かに太宰府天満宮で学問の神として全国的に知られていても、これは私が北陸の生まれであるという特殊な条件にあることからの発想だと気づき、慌てて補足した。
 私の郷里では、男の子が生まれると、母方の祖父が地元の絵師や画家(必ずしもプロでない、絵がうまい人)に描かせた天神様を描いた屏風を贈り(同じように鯉のぼりも贈るのだが、私の場合、父方より母方の家が有力で、鯉のぼりが家に比べ大きすぎて飾れなかった)、正月にはそれを毎年、床の間に飾るのである。私の家の場合、仏間に床の間があるから、仏壇の横に、父の天神様と私の天神様の屏風が二本並んだ。昔の人物によくあることだが、絵師によって描き方が全然違い、父のふっくらした天神様と私の怜悧な天神様は果たして同一人物かと子ども心に思った。
 私も父も年を取ってぐうたらになり、飾らなくなってしまった。でも、思い出すと、いい習慣だったと思う。こういうのを聞いて、なんで女子にはないんだ、などとフェミニズム的発想で斬らないでね。

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