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ASEANと死刑

 中国での死刑が気になって以前ここで書いたが、新聞を読んでいて、ことは華僑世界というか、中国系が多数、あるいは少数でも有力な国々に広がることに気づかされた。みな儒教圏だからという、安易な文化論では説明にならないだろうが、刑法上は似ているところがあって、シンガポールやマレーシアでも麻薬の所持や密輸で死刑になりうる。実際の法律の運用で中国ほど簡単に死刑を執行しないだけだ。だから他のASEAN諸国は、自国が犯罪者の吹きだまりにならないように、その流入を防ぐために厳罰を解けないという。いずれにしても、中国を過度に特殊視もできないようだ。
 つまり、仮にカトリックの影響力が強いフィリピンなどで死刑停止の方向に進んでも、ASEANという固まりでは、その方向に進むことは想像しがたいということになる。ASEANがわれわれの予想以上に地域統合を深め、ASEAN憲章も存在するなかで、それでもEUとは違った、人権や民主主義への取り組みがでてくるわけだが、それ自体を今すぐ、「EUに比べて足りない」式の議論にしなくてもいい。むしろ、イスラーム法学の影響も含めて、ASEANという固まりがこの易しくない問題をどう解くか、これからが見ごろである。

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