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有名無実のマニフェスト散布禁止

 選挙について詳しい人には既知のことだと思いますが、現行選挙法の馬鹿馬鹿しさを改めて確認するために、数あるブログやネット情報にダブっても、ここで書いておきます。
 いわゆるマニフェスト、選挙公約集の文書は、公職選挙法では、第142条の2に「国政に関する重要政策及びこれを実現するための基本的な方策等を記載したもの」または「これらの要旨等を記載した」「書籍又はパンフレット」それぞれ1種類を、候補者届出政党または(比例区)名簿届出政党が、選挙活動のために「頒布」できる、としています。つまり、各政党は、完全版と要約版それぞれ1種類の合わせて2種類までは作っていいわけです。街頭では、もっぱら要約版だけを配っている政党もあります。「マニフェスト」は公職選挙法上の言葉ではないので、ある政党がそれを「アジェンダ」と呼んでも、何の問題もありません。
 また、どこでも配れるという意味の「散布」はできず、選挙事務所、個人演説会、街頭演説のいずれかの場所でしか「頒布」できないのです。これが不自由な話で、個人の住宅や会社のポストにマニフェストは投函できず、たまたま街頭演説に出くわさない限りは、個人演説会や選挙事務所に自ら行かないと、もらえないわけです。党本部や支部などは選挙事務所を兼ねている場合が多いですが、選挙事務所になっていないところでもらうことはできませんし、無理を言えば、こちらが選挙違反を誘うことになってしまいます。ミニ政党などで選挙事務所ではない本部をマンションの一室などに持っている場合は、取りにいってはいけません。
 一方、ネットは、有名になった文言「選挙運動のために使用する文書図画の掲示」が認められる場所や形式として書かれていませんので、マニフェストの掲載はダメということになります。選挙公約、つまりマニフェストは、上記のように頒布が限定されていますから、ネット上で散布つまりダウンロードできません。でも、実際には、各政党のマニフェストはホームページで見ることができるし、ダウンロードもできるように見えます。
 実はそれは、各政党のホームページをよく見ると分かるように、ネット上にある文書が実際ほとんどマニフェストと同じでも、選挙公約でなく、政策文書などという言い方で公示前に掲示しているはずです。民主党はわざわざネット上の(事実上の)マニフェストを「政権政策」としています。
 これは前回の選挙で、民主党がマニフェストをいったん公示前に掲載して、自民党に選挙法違反だと指摘されて、マニフェストではないように表記を変えた経緯があります。自民党は「政策バンク」と書いて、マニフェストと書きませんでした。
 選挙活動に関係ない「政策パンフレット」は通常の政治活動として散布もできます。この点が微妙でもっとも馬鹿らしいわけです。選挙らしいことを書かなければ、通常の政治活動を禁止するものはないので散布も許される。でも、実際の内容は、ほとんどマニフェストとかぶっているものもあるわけです。
 極論を言えば、「選挙公約」であるということをはっきり書かない配慮ができれば、「マニフェスト」という名の「政策パンフレット」を作ることも不可能ではないのです。公職選挙法に「マニフェスト」という言葉はないのですから。

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