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ベルルスコーニ、最大のピンチ

 ハイティーンの少女を買春していたのではないかとの疑惑で、汚職疑惑なら嫌疑は政敵の陰謀だと言えても、少女買春となれば誰も弁護したがらず、さしものベルルスコーニもかつてないほどのピンチである。前回の信任がギリギリだったので、次に信任がかかった投票になれば過半数はとれないとの分析も出てきた。
 ただ、問題は後釜がいるかということである。与党ではフィーニ派が去ったために逆に人材不足で、ベルルスコーニに変わる候補は見つかりそうにない。もちろん、フィーニ自身も可能性はまずない。
 昔、久米宏のニュースステーションでやっていた単純な積み木計算をすると、下院では、ベルルスコーニの与党「自由の人民」233議席+ボッシの北部同盟59議席が合計で292票、対する最大野党・民主党206議席+「価値あるイタリア」22議席が合計で228議席と、もともと基礎票では圧倒的に右派が有利。この間にいる、フィーニの「未来と自由」32議席、中道連合35議席、南部自治派など21議席だが、これらはかつてはベルルスコーニと組んでいた中道から右派の間の勢力だ。
 この3グループのうち1個半くらいの支持でベルルスコーニは勝てる、与党で造反が出ても、このうち2個の支持があれば勝てるが、野党は実はこれら3つすべて乗らないと過半数にいかない。つまり、それくらい基礎票に差がある。まとめると、現状ではベルルスコーニに過半数の支持はないが、それ以外の政党がすべてまとまっても代わりの政権はできない。
 とすると、90年代の半ばの政権危機で経験済みの「大統領政権」、つまりイタリアの首相は国会議員である必要がないので、大統領がこれはという人物に組閣をさせ、両院で信任されば非議員首班内閣が成立する。その候補はいるか?かつては、イタリア銀行総裁のチャンピや同銀行専務理事のディーニを首相にしたときもある。今の総裁のドラーギは欧州中央銀行の次期総裁候補の一人なのに、それに乗るか。また、ほかに経済人などでいい人はいるか。いそうにない。
 左派系の新聞『レプッブリカ』は、教会も政治家たちのモラル低下を気にしていて、祖国の危機に際して本来距離を置くはずの大統領と教会という世俗社会と宗教界のトップがかつてない一体化をしていることに、この共和国の形の溶解の危険性を見ている。

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