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「チリの闘い」を見て

「チリの闘い」3部作(90分×3)を見に来た。右派と米国に潰されたアジェンデ左翼政権のチリのドキュメンタリーで、撮影後に監督も軍事政権に捕まるが、フィルムは国外に出ていてセーフという奇跡のような映画。当時のイタリア共産党の危機感はチリの事情が分からないと理解できないが、この映画を数年前に見て感想を熱く語っていたのも、イタリア研究の先輩だった。
 第1部は右派側に注目した映像で、アジェンデ政権に対するありとあらゆる嫌がらせが連発される。それでも労働者のアジェンデ支持は衰えなかった。残った手段が、第2部の軍によるクーデタ。最後にアジェンデが残る大統領宮が空爆されるが、それまでの左派の分裂や混乱も出てきて、見ていて心が痛む。
 朝日の劇評が書くように、この映画の白眉は第3部で、これだけで一つの映画としても見られる。アジェンデの国有化路線を潰すために右派と米国が起こさせるストや買占めとそれに対する労働者の抵抗が、どちらもここまでやるかと見せられる。右派がトラックやバスを止め、工業・農業・小売の経営者団体がストをすると、労働者は工場や農地を占拠、自主管理して、職場には乗り合いで来て生産を続ける。しまいには直販や買占め摘発、「人民商店」までやる。後世のわれわれは彼らがいずれ敗れると知っていても、その健気さに感動する。
 1秒も退屈しない、超弩級の作品だった。

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