19番目の政令指定都市

 先日、閣議で神奈川県相模原市が19番目の政令指定都市になることが決定された。私が子どもの頃と要件が変わっているので、どの町が政令指定都市か覚え切れていない。
 平成になってから指定されたのが、仙台、新潟、千葉、さいたま、静岡、浜松、堺、岡山なのだが、これらの都市には失礼ながら、仙台と新潟以外はどうも腑に落ちないのである。それまでの都市が人口百万都市ないしは圧倒的な地域の中心で、誰が見ても文句が言えない感じの町々だったせいか、どうもかさ上げの感がある。もちろん、これは一定以上の都市に自治権を強化する地方分権の流れといえるかもしれないが、静岡や岡山クラスの県で政令指定都市があると、逆に県などは要らないのではないかと思えてくる。相模原に至っては、周辺部にも圧倒的な存在感はない。町田と厚木の間の町ということ以外に何か知られているだろうか。せいぜい首都圏最大級のベッドタウンという話ではないか。三つも政令市があるなら、それらを強化すれば、神奈川県など要らないだろう。
 サンデープロジェクトが明らかにした、橋下大阪府知事の(イメージと異なり、実は)深謀遠慮、大阪府の発展的解消こそ、まともな考えに思えてくる。

|

富山でもマニフェスト選挙

 超保守県である富山県の地方首長選でもマニフェスト選挙が始まった。県都・富山市と第2の都市・高岡市にはさまれた射水市(いみずし)であるが、これはもともと富山新港のある旧・新湊市と旧・射水郡(大門町、大島町、小杉町、下村)が合併してできた新市(合併後、市長選は2回目)だ。現職の旧・新湊市長大門地区から立った新人候補(県議)が挑む地域間の競争が、この静かなる保守県で異例の動きになったようである。
 新湊(しんみなと)は港町なので、地域的なまとまりが強く、時に県内の他では見られないような気合いが入る。港湾関係で旧・社会党系などもそこそこいて、県内平均よりはリベラルな町だ。地元の新湊高校が甲子園に行ったときなど、人口の5分の1?くらいが応援に行ったのか、町が閑散として「新湊がやってきた」と中央の新聞に書かれたくらいだ。このときは勢いでベスト8まで行ってしまった。普通、富山県勢は1回戦か2回戦で負けるのである。
 大門(だいもん)は全国に知られたものはないけれど、一人著名人を出している。読売新聞の中興の祖にして日本プロ野球の基礎を築いた正力松太郎である。

|

北日本新聞が夕刊休刊へ

 富山県の最有力地方紙『北日本新聞』が夕刊を休刊する。夕刊の創刊は1940年、戦争中に中断した後、戦後夕刊が復活したのは、奇しくも自由民主党が結党した1955年だという。全く関係はないが、自民党政権と同じ寿命だったわけだ。富山は自民党が負けない(今回は1区は負けた)超保守王国である。
 もともと人口100万人程度の小さな県だし、メディア環境の変化からやむを得ないだろう。ただでさえ小さい市場に、ほかに石川県の『北国新聞』の姉妹紙『富山新聞』もあるし。持ち家率は全国一、生活保護受給率は全国最低なので、決して貧しい県ではないのだが。

|

金沢の書店事情

 頭痛から覚めてNHK衛星第1で流れる各地のニュースを見ていたら、金沢の書店事情のレポートがあった。
 金沢は私の生まれた高岡の親分筋(江戸から明治までは北陸の東京が金沢であり、北陸の大阪が高岡であった)に当たる町だが、書店事情は高岡で起こっていることが数倍のスケールで起こっている。つまり、中心街での書店の減少と郊外に大型書店という構図。
 金沢の中心街、香林坊にあった「うつのみや」という書店は、私が子どものころの憧れだった。高岡の文苑堂より大きい富山の清明堂より大きい金沢の「うつのみや」、当時のコピーは「本のデパート」だったと思う。それが香林坊から撤退してずいぶん経つ。県庁近くや駅ビルの店舗は残っていたが、やはり郊外に重点を移していたようだ。しかし、今は、外商に力を入れ、金沢に著名人が来るときは、自ら会場に出向いて著書などを販売しているようである。逆に駅と香林坊の途中のもう一つの繁華街、名鉄丸越デパートのある武蔵ヶ辻では、近くの近江町市場に関連づけて食に重点を置いた新しい本屋もできたという。
 しかし、状況が厳しいことは変わらない。今年の夏休みに行ってみたら、かつての「うつのみや」ほどではないが、とりあえず香林坊にあって、その代替にもなっていた中田書店(富山が基盤の書店)が撤退していた。数年前にはいったん金沢に進出していた大型書店ジュンク堂も駅前近くにあった店を撤退している。
 高岡の文苑堂は中心街、末広町の店舗が専門書を置くのをやめ、軽くなった。富山の清明堂は近くの大和デパート内に紀伊国屋書店ができて無力化した。車に乗らない限り、高岡の中心にある私の実家からは、まともな本を買うには、電車で富山に行き、さらに市電で西町まで行き、紀伊国屋に行くしかない。さびしい。

|

土産物屋の息子の土産

 私は、よくここで書いているように、土産物屋(10数年前に閉店した今はなき母と祖母の店)の息子である。イタリア渡航中、ゼミの学生たちにちょっとした土産を買っていってやろう、と珍しく優しい気持ちになった。たぶん、ローマでもフィレンツェでも旧友に会えて気分がよかったからかもしれない。
 しかし、土産というのは、存外難しい。まず、日本で簡単に手に入るものはダメ(例:ゴディバのチョコ)。嵩張る大きなものはもっとダメ(ヨーロッパ便エコノミークラスはスーツケースも20キロまで)。高いモノは金銭的にも厳しく、もらった者は恐縮する。学生に贅沢は禁物だ。かといって、あまりにもちゃちなものは、こちらの人格が疑われる。
 迷っているうちに、コルソ通りでファブリアーノ(マルケ州アンコーナの近くにある紙で有名な町)の紙細工のショップを見つけた。きれいな紙製の小さなメモ帳(表紙が単色だが鮮やかだ)を7色のパックで売っていた。これを買うことにする。
 ところが、私のゼミは15人なので、2パックで1冊足りない。だから、ゼミのためによいことをした学生に1冊ちょっとだけ大きいのを買う。
 書店で売っている、ちょっとかわいい柄のしおり(アケーナという会社が作っている「モン・ジャルダン」というシリーズ)を1枚(これも12種類くらい違った柄がある)これに添えれば、なんとか形になるだろうと思った。意外に好評で、ほっとする土産物屋の息子であった。
 

|

富山弁の実例

 首都圏に出てきてからいつの間にか25年になった。会社勤めの2年余り以外は大学とその周辺にいて、途中大阪にも2年半いたわけだが、感情が入ったとき、言葉は富山弁になる。あるとき、父親と電話で話したあと、ゼミで(講義ではまずないが)いきなり富山弁で3分ほど話してしまい、自分で気づいて驚いた。たぶん、よく知る学生たちとの親近感で錯覚したのだろう。
 ただ、富山弁がどんなものかは、なかなか説明しにくい。県民性を暴露する番組で、富山県出身の柴田理恵が語ることも、彼女が県中南部の「おわら風の盆」で有名な八尾(やつお、現在は富山市の一部、渡辺淳一『愛の流刑地』にも登場)出身なので、県西部出身の私には違和感がある。
 しかし、立川志の輔は私の母の出身地、新湊(しんみなと、現在は射水市の一部)の生まれなので、富山弁を話すときは、かなり私の生来の感じに近い言葉だ。
 よく、語尾や節目に「〜やろ(〜だろう)」とか、「〜やし(〜だし)」というので、関西弁に似ているかというと、大阪弁ほど強くないし、やや柔らかいところは、京都に似たところもあるが、それほど上品でもない。意味のない「〜が」がやたら入る。「先生、おやつにバナナは入るがですか?(おやつにバナナは入るのですか?)」
 ネット上にも紹介がたくさんある、県内だけで有名な「富山弁かるた」を参考に、実際の会話や、単語でお教えしよう(迷惑か?)。ただし、県内にも微妙な差があり、ここでは、全県共通のもの以外は、県西部の言葉で紹介する。
 会話で、たぶんいちばんよく使うのは、「きのどくな(気の毒な)。」ありがとう。相手に気を遣わせているという意識。贈り物をもらうときにも使う。
 私がいまだに東京でもすぐ出てしまうのが、「な〜ん。」いいえ。短いヴァージョンもあり、「なん、ちご。」いいや、ちがう。「なん、ちごちゅが。」いいや、違うと言っているだろ。
「全然」の意味でも使う。「寒いがか?」寒いのか?「な〜ん、さむない。」ううん、全然寒くない。他県の人を迷わすのは、「なん、つかえん」。これは「使えん」ではなく、「(差し)支えん」の意味で、「全然構わない」。「この消しゴム使(つこ)てもいいがぁ?」この消しゴム、使ってもいいの。「なん、つかえん。」全然、構わないよ。
「〜したら」と勧める場合は、「〜られ」。「富山に来られ。」富山に来てね!(来たら?)。「〜せんまいけ」は、英語のLet's do it. (〜しよう)
「ねぐさい(根臭い?)」汗をかいた後、放っておいた服のように、なんともきつい臭さを表す。
 以下は、特徴的な単語。
「おつくわえかく」正座で座る:柴田理恵の生まれた県東部では「おちんちんかく」と言う(テレビでも紹介)が、県西部ではこう言う。
「きときと」新鮮な
「ごんぎはん」お坊さん:「〜はん」は敬語。
「じゃまない」構わない
「ずらかして」「ずらかいて」どけて
「つんだって」連れだって、付いていって
「はしかい」賢い、ずる賢い場合にも使える。機転が利く、判断が速い感じ。
「ぼんぼする」おぶる
「わかはん」長男
 こういう高岡(富山県西部の中心都市、東京と同時に市制施行した30数都市の一つ)の情報は、同じニフティで「姫」さん(私の恩師を「〜ちゃん」と呼んでます)が書いているブログ「折おりの記」に詳しいです。先週は、開町400周年を祝うイベントが行われ、勝野洋、浅野ゆう子が前田利長夫婦を演じたようです。カラー写真で出てます。
 ところで、何でこんなこと書いたのかな。疲れているのかなぁ。
 

|

黒磯

 Nec_0004
 那須湯本に行く途中の鉄道最寄り駅のある町、黒磯。昔の黒磯銀行の建物が文化財に指定されていて、中が「カフェ・ド・グランボワ」というおしゃれなカフェテリアになっている。ランチも紅茶も手をかけたおいしさ。日本の近代建築の特徴のある高い天井、落ち着いた色のシャンデリア、ランプ、精工舎(セイコーの製造部門の前身)の大きな時計(今も動いている)。
 しかし、近くにある和菓子屋「明治屋」の店頭に、「黒磯再生」を訴える記事の切り抜きが。その向かいの商店街は、この町も、シャッター。和食も洋食もおいしいお店があるのに、町はとても静か。惜しい。

|

千体地蔵、殺生石、生きる

Nec_0022
 ゼミの学生を連れて、那須湯本近くに来ていた。湯本に「鹿の湯」という古い温泉があるのだが、そこで硫黄泉に浸かったあと、山のほうを見ると、広々とした丘陵に多数の石が置かれている風景が目に飛び込んでくる。
 あの世に行ったかのような、不思議な風景が広がっていた。普通の地蔵と違って、合わせた手を高く掲げて祈る千体地蔵。
Nec_0017
 賽の河原での石積みのように、大きい石に小さい石を縦に積んだ石群のいちばん先にある殺生石。親不孝な坊さんが熱泉で罰が当たったといういわれがあるようだ。
 芭蕉も句を詠んでいるようだ。
 最後に近くの神社に笑うくらいみごとなミズナラの樹を発見。その名前「生きる」。両手を挙げてヤッターと言ってるような元気な樹。面白い木なので、私と学生たちの健康を祈って、お賽銭を入れておいた。
Nec_0006
 この地は生死の象徴のような面白いコントラストを用意している。その中で湯浴みするわれわれ、生きている人間。

|

高岡よ、変われ!

 総選挙気分を脱するために、総選挙ネタはこれで打ち切りにして、最後にこれだけは言いたい。
 我が郷里、高岡(富山3区の中心都市)は今回も政権交代を選択しなかった。同じ北陸でも石川、福井は民主が小選挙区か比例復活ですべて通っている。いつまで保守と一緒に凋落を続けるのだろうか。いいかげんに変われといいたい。開町450周年を祝っている場合だろうか。東京と同時に市制施行した30数都市の一つだが、その勢いはもうない。

|

スイス・アーミーナイフ

 知っている人は当たり前に知っているのでしょうけれど。キャンプやボーイスカウトの必需品で、ナイフや栓抜き、缶切り、はさみなどが沢山ついていて、その全部が折りたためる携帯用ナイフ。あれをなんて言うのだっけ。答えは現在、ヴァカンス中で暇なネタが多いフランスの衛星ニュースで分かりました。
 Schweizeroffiziersmesser(シュヴァイツァーオッフィツィーアスメッサー)というのですね。「スイス・アーミー(オフィサー)ナイフ」でした。今年で製造125周年だそうです。
 

|

クイーンズランド州観光プロモ

 オーストラリアのクイーンズランド州が新手の観光プロモーションをしている。突然、コートを着ている女性モデルがコートの前を広げるとビキニ姿。しかし、露出狂ではなく、そのコートの内側にはクイーンズランドの美しい海岸風景が描かれていてモデルの背景となっているという立体?CM。Daily motionでフランスの政党CMを見ているうちに見つけました。

|

アッシジ、ラクィラ

 イタリア中央部を襲った大地震。今回は、ラクィラが襲われたわけだが、十数年まえにアッシジの大聖堂のフレスコ画をこなごなにした大地震も覚えておられる方も多いだろう。実は、イタリア研究者を名乗りながら、この二つの町にはまだ行っていない。自分がいつか行くべきと思いながら行かずにいた町がもう二つ崩れた。
 それは理由があって、政治や歴史を研究するといっても現代が主たる関心なので、この二つの町に行くには純粋に観光でないと行けないし、主要大都市から少し離れている(逆に飛行機でいくほど遠くもない)という距離の中途半端さもあり、非常勤時代にはとてもそういう余裕はなかった。
 実は、私は学部時代には史学科で中世史の研究を志していた。しかし、フランス語やイタリア語は何とか読めるようになったが、ラテン語やドイツ語は全然覚えられなかったので、卒業と同時に純粋な歴史学者になる道は諦めた。ただ、中世の都市にこだわりはあって、卒業してしばらくして、シエナに語学留学したときは、近郊のサンジミニャーノ、モンタルチーノ、モンテプルシャーノといった小さな町を週末ごとに回った。
 しかし、アッシジとラクィラは、中世においては、これらの小さな町よりも重要な都市だったのだ。シエナ近郊の小さな駅で発車前の列車の中で座っていたとき、ホームから窓越しに初老のフランス人紳士が話しかけてきて、「日本人がこういう小さな町にくるのは珍しいな。お前はこの近くに住んでいるのか。」と聞かれ、「シエナでイタリア語を勉強している」と答えた後、なぜか、「お前はラクィラに行ったことがあるか。とてもきれいな町だから、一度行ってこい。」と言われたことを思い出した。この後、列車が発車して、彼のラクィラに関するこだわりは聞けなかったが、それを自分で発見することも今回の地震で難しくなったわけで、何がそこにあったか分からない分、余計に残念である。

|

クイーンズランド州首相の決断

 オーストラリアのクイーンズランド州は労働党政権が11年続き(中道左派が強いところもカリフォルニアっぽい)、選挙の洗礼を受けていない現役の女性の州首相Anna Bligh氏が世界的金融危機を前に、2月に州選挙の前倒しを決断。全国的にも注目を集めている。経済が最悪になる前に延命を図ったという見方もあるが、金融危機対策をじっくり行える政権を作れるということで一定の説得力を持っている。野党の保守派(自由国民党)も政権交代を目指し、追い上げ、直前の世論調査では、42%対43%で、五分五分。投票は3月21日。
 日本政治にも示唆するところ、多し。

|

オーストラリアのヴェネツィア?

 ブリスベンには、ブリスベン川が蛇のようにうねりながら流れている。この上を走るのが、水上バスであるシティー・キャット(City Cat)。Catはcatamaran(双胴船)という船の船体の略で、中型くらいだが、結構な人数が乗れる船である。
 この水上バスの片方の終点がクイーンズランド大学で、中心街のすぐ前にある停留所のNorth Quay(「ノース・キー」と現地では発音している)に出られるので、滞在中よく利用した。
 うねる川の形といい、水上バスとしての使用といい、ヴェネツィアを思い出した。船はブリスベンのほうが大きい。

|

オーストラリアのカリフォルニア

 学生を引率して3週間の語学研修にオーストラリアのクイーンズランド大学に行ってきた。このブログの独自ルールに従い、学内事情や学生のことは書かない。ただ、私が滞在中にオーストラリアの政治や社会で気づいたことは書こうと思う。
 なんと言っても、学生の安全優先で事実上24時間対応、土日もそうである。しかし、3週目には学生も落ち着いてきて、何かこの街を知る機会はないかと探して、地元のブリスベン市の将来を考えるというシンポジウム(ブリスベン・インスティテュートとクイーンズランド大学の共催)を聞いた。クイーンズランドがニュー・サウスウェールズから離れて今年で150年、では50年後の2059年にはどうなっているかという未来予想で、バイオテクノロジーや都市工学の教授たちが話していた。
 会場はブリスベン市内の歴史ある建物、カスタムズ・ハウス。ブリスベンはオーストラリア第3の都市ながら、亜熱帯に属し、水不足というネックを持つ街だが、それも日本でも企業が中東に進めている海水の利用技術の進歩でなんとかなるとか、理系研究者たちの楽天的な報告が目立った。
 しかし、ナノ・テクノロジーを語った教授が中国系だったように、アジアからの移民も多いこの街で、大学はアメリカのカリフォルニア州の諸大学のようにハイテク理系大学を志向しているように思えた。アメリカの東海岸に対するところの西海岸が、ここは季節が真逆の南半球ゆえ、南岸(シドニー、メルボルン)に対するところの北岸(ブリスベン)ということになっているのではないか、と思った。
 実際、住居の安さ、郊外のマリン・スポーツなどレジャーの充実から、人口は南から北に移っているようである。まさに、彼らが自称するところの「サンシャイン・ステート」。

|

金沢の文化力(2)

 実家で遅い昼食をとりながら、北陸放送(石川県の民放だが、富山県西部の私の実家では見られる)で夏に行われた「金沢城オペラ祭2008 THE 地球 LIVE」の再放送を見る。
 金沢城の三の丸広場でこの夏に行われていたようで、「オペラ」といってもクラシックではなく、財津和夫を中心に、平原綾香元ちとせ中孝介といった、若大人好みの実力派歌手だけのいいライヴ。観客も大人が目立った、落ち着いた内容で、東京でもこの組み合わせはそうそうないだろう。

|

高岡大仏の唄

 私の故郷である富山県高岡市には江戸時代にできた大仏がある。地元では鎌倉、奈良と「日本三大仏」と呼んでいるが、他の土地では誰も知らない。田舎では大人がこういうウソを子供に教えるから、始末が悪い。
 その点、地元のアマバンドが作ったラップ「高岡大仏の唄」は、今日初めてラジオで聞いたが、日本でも世界でも知られていないことを前提で歌う歌詞が、真の郷土愛に思えて、好感が持てた。

|

金沢の文化力

 学生の研修で金沢に3日間滞在した。学生の自由行動の日に、引率者の私も、有事のときはいつでも対応できるよう市の中心部を離れずに、文化施設をまわってみた。これも携帯電話というものができたおかげである。昔ならホテルにずっといるしかなかっただろう。
 金沢の三文豪といわれる泉鏡花、徳田秋声、室生犀星にはそれぞれ記念館があり、それぞれに工夫があって素晴らしかった。鏡花記念館には佐藤慶朗読の『高野聖』が聞け、秋声記念館では小説の女性像に重点を置いたシアター、犀星記念館では、犀星自身の作品朗読の録音が聞けた。
 高岡生まれの私にとって、金沢は親戚も多い第二の故郷だが、改めてその文化力に感心した。

|

富山ネタ2つ

 ヤフー・ニュースでイギリスでレジ袋追放の動き広がるの報の関連記事に、富山県内のスーパー12業者の店舗134軒中117軒(計算すると87%)で4月からレジ袋有料化のニュース。年末年始に帰省したら中心街にある実家近くのスーパーがなくなり、旧市街の外の国道など車でしかいけない大型スーパーばかりになっていて閉口したが、全県でこのような措置を業界団体自らが率先して行うのは珍しいという。全県が通勤圏といわれる小さい県(貧しくはなく、日本海側では有数のリッチな県)だからできたという気がする。
 考えてみればイタリアでは20年前から有料だったので、いかにわれわれが遅れているか分かる。CO2削減どころか増加になっているのだから、せめてレジ袋くらい全国一律の大胆な手を打たないといけないはずなのだが、これが進まないのも業界団体への配慮だろうか。店舗付近のゴミも減って、業界にもいいような気がするが。
『週刊文春』の記事で、富山ネタを売りにしているお笑い芸人「長江もみ」という人がいることを知る。確かに長江は郷里に多い名字だ。本人の公式HPはなく、事務所のスポーツチームのブログしか見つからないが、すでにファンが作ったサイトもあって、どうも「持ち家率1位」などいわゆる県民ネタを使っているらしい。少しは笑えるかと、You Tubeで検索かけてもヒットせず。
 進学率が高く、まじめだが面白みに欠け、大物が出ない県(例外は藤子不二雄。柴田理恵、立川志の輔などは比較的知られているが、やはり手堅いマジメな人という印象。)なので、お笑いが一人でも出れば快挙である。

|

アンコーナへの想い

相当のイタリア好きでないと知らない町、アンコーナ。マルケ州の州都であるこの町を日本で例えると新潟だろうか。どちらも、対岸は旧共産圏で冷戦期には一定の緊張感もあったが、民間の貿易は絶え間なく続いていた大きな港湾都市である。

ナンニ・モレッティの映画を政治学の立場からまじめに論じる機会を与えられたので、彼がカンヌを制した「息子の部屋」の日本語パンフを見たら、いかにもイタリア語を聞き書きで書いた「アーンコナー」という表記に、これはひどいな、と思った。

モレッティがここを映画の舞台に選んだのは、豊かな北部と貧しい南部のどちらにも偏しない中部のこの町で、人間そのものをよく描けるからだという。行ったことはないが、雰囲気は分かる気がする。

実は、私は行ったことがないのに、この町の情報には多く接している。大学では文学部(筑波では人文学類という名称だったが)の史学科で西洋史学を勉強していたのだが、卒業論文で、テーマに選んだのが、中世の一時期アドリア海商業をめぐってヴェネツィアのライバルだったアンコーナの12世紀のできごとだった。

その後、アンコーナの情報に接したのは、日本の女子バレーのプロ化開始直前に、一時、日本の社会人チームを去った大林素子と吉原知子がここのプロチームに入ったことである。吉原は間もなくローマに移籍したが、二人はイタリアの都市のなかでも派手さはないが、経済・社会的にもいい街で生活できたのではないかと想像する。現在北部のヴィチェンツァにいる高橋みゆきも環境はいいのではないだろうか。

ただ、お金も時間もあまりない三流研究者の身では、研究に少しも関わらない地方都市に行くのは、贅沢すぎる。よきにつけ悪しきにつけ、人生の転機が来たら、無目的に訪ねたいと思っている。

|

王国のなかの共和国

昨日、休みをとって、協力者になっている科研の研究会で東京に行ってきました。その折りに山手線に乗ったのですが、車両丸ごと広告でロンドンが観光キャンペーンを打っていました。ロンドン市民がみんな青いバニーの被り物をしている「ロンドンバニー共和国」というのですが、連合王国のど真ん中で「共和国」とは、さすが左派のリビングストン市長、やりますね。そこまで考えていないのか?

ロンドンは2001年以来行っていないのですが、物価は安くなっていないでしょうね。好景気が続いていますから。ベルリンも対抗して「ベルリン・ベア共和国」とか、ローマも「ローマ・ウルフ共和国」をやったら、どうでしょう。パリは、「パリ・マリアンヌ共和国」か、「パリ・ガリアの雄鶏共和国」か?共和国すぎて広告の意味なし。

「ロンドンバニー共和国」 http://visitlondon.promotionbox.jp/

|